川口オートその2


僕が2歳か3歳のころ

親父が僕と散歩がてらにオートに行ったんですって。

なんとなく買ってみた車券が当たったみたいで

親父は10万円を手に入れたんですって。


なんとなく

その時の様子を覚えているんです。

家に帰ってきて親父が興奮して母親に説明している風景が・・・


それからというもの

親父はオートレースにのめり込む。

毎晩寝る前にノートに何かを書き込んでいるんです。

その日の川口オートの結果を書いているんです。

自分の成績も。


父親とオートに行くのは楽しみでした。

自分は食べ物狙いで

ソーセージの揚げたやつが好きだったなぁ。

そして

レースを見ているときの

エンジン音が爆音で

バリバリバリと言う音が胸に響くのです。

うるさいというよりも

その音圧が気持ちよくて・・・

そして

サブロク

という言葉の響きも好きで

「3-6買った?」

と親父にいつも聞くのでした。


オートレースに来るおじさん達は

大抵同じところにいつもいます。

名前は知らないが

顔と口癖は覚えている。

「とんとんおじさん」

と名前を付けたおじさんがいたなぁ。

「1がきて2がきて、とんとーん!っていきたいねぇぇ」

「次もとんとーんってとりたいねぇ」

「とんとーん」

これが口癖。



甘酒を覚えたのも

オートレース。

串カツを覚えたのも

オートレース。

ちくわの磯部上げを覚えたのも

オートレース。



小学生に入り

野球の朝練が始まったのですが、

練習場は

オートレースの駐車場。

1年生の時からほぼ毎日。

そりゃ上手くなりますよ。

川窪監督が川口市から駐車場の鍵を借りてきて

朝だけ使わせてくれることに。

コンクリートで野球をやると靴がすぐ穴が開く。

ピッチング練習をやると右足の先に穴が開く

それをビニールテープでぐるぐる巻いてみたりしたなぁ。

バッティングをすると

ボールがレース場の中に入ることもあるんです。

すると

練習の最後に

正門の鍵も開けて中に入って取ってくるのです。

この鍵開けて中に入るってのが

たまらなく好きだった。

親父と来ている時は

今と違って車券をゴミ箱じゃなくてその辺に捨てるから

あたり一面車券のゴミが沢山なのです。

それが

朝の状態は掃除されていてゴミ一つ落ちていない。

とっても綺麗で広く感じて清々しかったのを覚えています。



そして

中学生に入り、

オートにはまっている奴らが出てくるのです。

13歳にして

休み時間の話はオートのこと。

オートレーサーに名前があるのと同じく

バイク自体にもにも名前をつけるのです。

その名前当てクイズとかね

昨日のレースの感想とかね

チョー詳しい。

びっくりですよ。

さらに中に入って車券買っちゃうんですから。

昔は緩かったんです。



思い出の川口オート。

独特の文化だとおもいます。

是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか?